• S.S様(27歳)

    初来社から内定まで28日

    ハローワークに相談に来ていためっちゃ寒い雪も降るある日のこと。

     

    用を済ませてビルを出ると一人の若い男に声を掛けられた。

    手始めに求職者であるかの確認をされ、『私こう言う者です』と名刺を差し出された。

    どうやら就職サポートを生業としている者らしく事務所で話そうと言う。

    願ってもないお誘いではあるが、寒いし早く帰りたいので用事があるのでとすぐに切り上げようとした。

    それに聞いたことの無い社名にその職員らしき人物。

    怪しい。

    新手のキャッチかもしれん。

    ついていったら、ど偉い目に会わされるかもしれん。

    過去大きな不利益を乗り越えてきた私としては本当に避けたいシーンだ。

    ただでさえお財布が寂しい今、不当な高額請求には耐えられない。

    就職はしたい、でも明るく振る舞ってくれているのが逆に怖い。

    無理に振り返って歩き出せば止められはしないだろうが、チャンスだった場合の損失も考えなくてはならない。

    信用に足る者か見定める事ができれば私にとっては大きなプラスかもしれん。

    葛藤の末、まずはその職員と戦ってみることにした。

    職業紹介事業者登録はされているか、運営しているサイトはあるか、競合他社との関係性、実績はどれほどあるのか。

    他にも重要な内容から些細などうでも良いような内容までランダムに攻撃を仕掛けた。

    しかし、その職員らしき人物は顔色も変えず全てにスマートな解答をもって反撃してきた。

    内心認め始めたのは戦いから約一時間後、息を切らしかけたその時だった。

    それは最後の一押しにして最強の一撃と言えよう。

    『もうずいぶん話しちゃったけどご用事は大丈夫ですか?』

    (用事なんて無いことに感づかれたか…)

    『一回来てみなよ、話だけでも良いよ』てニュアンスのことを言われた。

    実に持久戦の弱点を突いた素晴らしい攻撃だ。

    自衛本能全開でフルパワーで質問攻めをしてみたが私は、この後用事があると述べた時点から敗北が決まっていたのかもしれない。

     

     

    ~1ヶ月後

    私は内定を獲得した

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